ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日は化学の試験で非常に出題頻度の高い放射平衡に関する演習問題を掲載するとともに、放射平衡についてのおさらいとまとめをしたいと思います。
問
親核種の半減期T1が,その娘核種の半減期T2に比べて十分に長く(T1>>T2),娘核種は最初に存在しなかったとする.T2より十分に長い時間が経過し永続平衡が成り立っているときの親核種及び娘核種の放射能をA1,A2とすると,この場合,近似的に成り立つ式として最も適切なものは次のうちどれか.
1 A1/A2=1
2 A1/A2=T1/T2
3 A1/A2=T2/T1
4 A1/A2=T2/(T1+T2)
5 A1/A2=T2/(T1-T2)
2 A1/A2=T1/T2
3 A1/A2=T2/T1
4 A1/A2=T2/(T1+T2)
5 A1/A2=T2/(T1-T2)
放射平衡に関しては、放射線取扱主任者試験では非常に重要分野で毎年のように化学の試験で必ず1問は出題されています。また物化生の試験でも数年に一度は出題されています。
永続平衡、過渡平衡、そして放射平衡が成立しない場合についての公式は必ず暗記し、またその時の親核種、娘核種の放射能を表すグラフはしっかりと頭に入れ自分で書けるようにしておいて下さい。
永続平衡、過渡平衡の代表的な核反応も暗記しておきましょう。
放射平衡に関する重要事項のおさらい
放射平衡に関しては以下の3つに分類できます。
①永続平衡 ②過渡平衡 ③放射平衡が成立しない
全て重要ですので、是非理解するとともに以下の公式は必ず暗記してください。
(第7版放射線概論P.134)
(第7版放射線概論P.134)
A:親核種1 B:娘核種2 C:娘核種3
壊変定数λと半減期Tの関係
親核種1の原子数
娘核種2の原子数
通常、娘核種2の最初の原子数は0であることが多いので、N2は以下の式に書き換えられます。
②過渡平衡
・親核種1の半減期が娘核種2の半減期に比べて長いときに成立(T1>T2)
・娘核種2の放射能は親核種1の半減期に従って減少していく
・娘核種2の放射能が親核種1の放射能よりも大きくなる
・娘核種2の放射能が最大となる時間では娘核種2と親核種1の放射能とが等しくなる
・親核種1の半減期が娘核種2の半減期に比べて長いときに成立(T1>T2)
・娘核種2の放射能は親核種1の半減期に従って減少していく
・娘核種2の放射能が親核種1の放射能よりも大きくなる
・娘核種2の放射能が最大となる時間では娘核種2と親核種1の放射能とが等しくなる
減少していく
放射平衡が成立する、しないに関係なく娘核種2の原子数が最大になる時間は、
さて、本日の演習問題ですが、解説するまでもありませんが、上述の内容を暗記しておけば永続平衡が成立するためA1=A2となります。正答は1ですね。
放射平衡に関しては、このブログでも3回にわたって取り上げています。
関連する過去問題もそれぞれの記事に
放射平衡に関する過去問題
平成17年度化学問5,問6,問10
平成18年度化学問8
平成17年度化学問5,問6,問10
平成18年度化学問8
平成18年度物化生問1
平成19年度化学問7,問8
平成20年度化学問9,問10
平成19年度化学問7,問8
平成20年度化学問9,問10
平成25年度化学問5
平成25年度物化生問4Ⅳ
平成26年度化学問7
平成27年度物化生問3Ⅱ
平成28年度化学問8
平成29年度化学問4,問5