ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
昨日は電離箱についての記事を紹介しました。
電離箱に関しては、計算問題も含め物理、管理測定技術の試験でよく出題されていますので過去問題でしっかり勉強して下さい。
今日は比例計数管に関する記事を紹介したいと思います。
○比例計数管
・電子は陽極付近で強い電場で加速され、さらに気体を電離させる(電子なだれ)
・電子-イオン対が増幅されパルス波高が大きくなるため、パルス波高は最初に発生
した電子-イオン対に比例する(エネルギー測定が可能)
・気体中の移動度は電子は陽イオンより大きい
(平成20年度物理問28,平成24年度物理問24)
・比例計数管ではPRガス(Ar+メタン)または純粋なメタンも使用
PM AM(P:proportional(比例)、M(メタン)、A(Ar))と覚える
・比例計数管の分解時間は数μs
一次電離で作られた電子は衝突時に得た十分なエネルギーによって更にガス分子の電離を引き起こし、これを繰り返します。これを電子なだれといいます。この出力信号は一次電離量に比例します。
下図は平成19年度の管理測定問1の図で、比例計数管の印加電圧と計数率の関係を表した図です。領域1、領域2はプラトーと呼ばれます。気体検出器であるGM検出器でも同様のプラトーが見られます。
プラトーは長く傾斜がない方が好ましいといえます。
プラトーの場所は検出する粒子の種類に依存します。低い印加電圧では、α線のみが測定され、高い印加電圧ではα線とβ線の両方が測定されます。すなわち、α線とβ線の弁別が可能となるということです。エネルギー測定も可能ですが、β線は飛程が10m程度と長いため壁にぶつかりエネルギーの一部しか電子-イオン生成に変換されないため不適となります。β線のエネルギー測定はプラスチック・シンチレーターや表面障壁型Si半導体検出器が使用されます。
(飛程の短いα線や3H(18keV)などの極低エネルギーβ線のエネルギー測定は2πガスフロー型比例計数管で可能)
○BF3比例計数管、He比例計数管
熱中性子の検出として重要で試験でもよく出題されていますので下の核反応式とともに必ず覚えておいてください。
・熱中性子の検出器として使用
・BF3比例計数管
BF3ガスを用いる比例計数管:発生したα線が管内を電離するもの
・3He比例計数管
Heガスを用いる比例計数管:発生した陽子が管内を電離するもの
中性子の検出器であるレムカウンタは、Heガスを用いる比例計数管、BF3ガスを用いる比例計数管をポリエチレン減速材で覆ったものです。
平成17年度物理問30
平成18年度物理問30
平成18年管理測定技術問4Ⅱ
平成19年度物理問22,27
平成19年管理測定技術問1
平成20年度物理問28
平成22年度物理問28
平成22年管理測定技術問2Ⅱ
平成23年度物理問26
平成23年管理測定技術問1Ⅰ
平成24年度物理問23
平成25年管理測定技術問2
平成26年度物理問23,28
平成26年管理測定技術問2Ⅳ
平成27年度物理問21,29
平成30年度物理問27