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2022年度第一種試験問題総評 物理編

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

令和4年度の第一種試験の総評を掲載致します。

 

2022年度第一種試験問題総評

【物理】

例年に比べると少し難しかったように思います。

五肢択一式では、問26、問28の計算問題は過去にも出題されていないかと思いますので正答できなくても仕方ありません。問12も高校物理のような問題ですので難しかったかもしれませんね。文章問題でも問31の計算量が必要な問題は正答できなくても構いません。大切なことは暗記することで得点できる問題や公式を覚えておけば正答できる計算問題を落とさず、確実に得点することです。過去問題とほぼ同一の問題や類似の問題も多くありますので、過去問題をしっかりと解いておきましょう。

 

問1は計算問題です。光速に近い粒子の質量を公式から求め、その後はE=mc2を使用します。相対性理論における粒子の質量を表す公式は覚えておきたい公式です。

問2も計算問題です。エネルギーと波長の関係を表す公式を使用します。少し計算量がありますが正答できる問題です。

問3の選択肢2のスピンについては2021年物理問22、2015年物理問6でも出題されています。他の選択肢も過去にはよく出題されています。

問6は陽電子の問題です。2010年度物理問14の類題です。

問7は137Csから放出される光子の個数に関する計算問題で、2009年度物理問10とほぼ同じ問題です。解き方を理解しておくことが大切です。

問9は加速器に関する計算問題です。円運動は非常によく出題されており、この問題は2016年度物理問9とほぼ同じ問題です。遠心力や速度など円運動する粒子の公式は覚えておきましょう。

問12は運動量や運動エネルギーに関する高校物理の計算問題です。高校物理を履修していなかった人には難しかったかもしれません。

問14はチェレンコフ光に関する計算問題です。チェレンコフ光に関する計算問題は過去にも2016年度物理問15、2012年度物理問14、2021年度第二種試験物理問11などで出題されていますが、本問題は水中ではなくガラス中であることに注意が必要です。解き方を理解しておくことが大切です。

問19はコンプトン散乱に関する計算問題です。公式を理解しておけば正答できます。

問25は誤差(標準偏差)を求める計算問題です。計数値の誤差や統計に関する問題は出題頻度の高い分野ですので公式をしっかり覚えておきましょう。2020年度物理問27、2006年度物理問27の類題です。

問26はエネルギー分解能を求める計算問題です。エネルギー分解能を求める問題としては2019年度物理問26があります。本問題は2014年度管理測定技術問1Ⅱ(Q)でも出題されていますので、この公式を覚えておけば正答できますが、公式を覚えていないと難しいですね。

問27は電離箱におけるブラッグ・グレイの空洞原理に関係する問題です。2014年度物理問24の類題です。ブラッグ・グレイの空洞原理に関しては、旧管理測定技術や物化生などでよく出題されていますのでしっかり勉強して解き方をマスターして下さい。

問28は電離箱の指示値補正に関する計算問題です。過去にも出題されたことがないように思いますので難しかったかもしれません。温度気圧補正係数の公式は覚えておくと良いでしょう。

問30は統計に関する問題です。ガウス分布正規分布)に関して2010年度物理問25でも似たような問題が出題されています。3σに入る確率が99.7%であることを知っていれば正答できます。

 

物理問31

ラザフォード後方散乱に関する問題です。

この問題は計算量も多く苦戦した問題だったかと思います。落ち着いて計算すれば正答できる問題もありますが、本番の試験で限られた時間では気も焦ってしまいなかなか正答するのは難しかったかもしれません。基本的な語句を問われている(A)(B)(C)(D)、また基本的な公式を問われている遠心力の公式(ア)、運動エネルギーの公式(イ)、ド・ブロイ波長(ウ)は正答したいですね。ド・ブロイ波長は最近よく出題されています。(2019年物理問1、2020年物理問2、2021年物理問3)その他の(オ)(カ)(ク)は計算量も多いので本番の試験では時間が余ったら解くくらいでよいと思います。(ケ)は計算量は少ないですので、(キ)のnの-2条に比例することが分かれば正答できます。

 

物理問32

電子や荷電粒子の物質との相互作用に関する問題です。

Ⅰの荷電粒子が物質中でdx当たりに失うエネルギーdEの割合である阻止能(=-dE/dx)に関しては過去にも何度も出題されています。(2019年度物理問15、2018年度物化生問2Ⅰ,Ⅱ、2015年度物化生問1Ⅰ、2013年度物化生問2Ⅱなど)衝突阻止能、放射阻止能に関する基本的なことは覚えておかなくてはなりません。

Ⅱの問題文冒頭のベーテの式は暗記する必要はありませんが、衝突阻止能、飛程の公式を表している(F)(G)の式は必ず暗記しておかなくてはなりません。2015年度物化生問1Ⅱ(キ)(ク)でも同様の問題が出題されています。(H)(I)は衝突阻止能、飛程の公式の公式を知っておけば、計算量もそれほど大変ではありませんので正答できます。(ア)(イ)(ウ)も公式に代入するだけですね。

Ⅲは放射阻止能と衝突阻止能に関する問題ですが、放射阻止能の衝突阻止能に対する割合を表したEZ/800という公式がありましたね。この公式を知っていれば(エ)(オ)は正答できます。