ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
11月も残すところ3日。来週からは12月に入ります。
コロナの影響で延期されいた今年度の放射線取扱主任者試験もいよいよ1か月後に迫ってきました。気温が低くなり、またコロナに感染する人が増えてきましたので、皆さんも体調管理には十分に気を付けて下さい。
さて、前回までに物理、化学の試験で出題される計算問題に関する記事を掲載しましたので、今日は生物の試験で出題される計算問題の記事を掲載したいと思います。
生物の試験はほとんどが暗記中心であるため、計算問題は毎年1問程度の出題になっています。数年前までは、物理的半減期と生物学的半減期から有効半減期を求める問題がほとんどでしたが、一昨年度、昨年度は総壊変数(累積放射能)を求める問題が出題されています。これはなかなか難しいですね。
有効半減期を求める問題は公式さえ暗記しておけば解ける基本問題です。
この問題が出題されたときは確実に正答しなくてはなりません。
有効半減期(Teff)を求める公式
2015年度問23
体内に取り込まれたある放射性核種の放射能が1年でちょうど16分の1に減少した。この放射性核種の物理的半減期が2年であるとき、生物学的半減期(日)として最も近い値は次のうちどれか。
2011年度問22
2009年度問27
2008年度問21
2018年度、2019年度の計算問題は総壊変数(累積放射能)を求める問題でしたが、近年はこの類の問題が多く出題されています。
先日の記事「解けるようにしたい計算問題 物理編」にも記述しましたが、物理の試験でも2019年度問5、2018年度問8、2015年度問8と同類の問題が出題されています。2012年度の化学問1もそうですね。
計算でしっかり解くにはなかなか難しい問題ですが、以下の式を覚えておくと正答は導けると思います。理解しなくてもよいので暗記しておくとよいでしょう。
①半減期よりも十分に長い時間にわたる総壊変数
②半減期と同じ時間までの総壊変数
この式を用いて、2019年度と2018年度の生物の問題を実際に解いてみましょう。
2019年度問17
体内に取り込まれたある放射性核種について、摂取直後にある臓器に100Bqの集積が認められた。この臓器において、集積後から有効半減期よりも十分に長い時間にわたる総壊変数(累積放射能[MBq・s])に最も近い値は次のうちどれか。ただし、この放射性核種の物理的半減期を30年、この臓器における生物学的半減期を100日とする。また、その間、臓器への新たな集積はなく、臓器重量の増減もないと仮定する。
<解>
この問題に上の式を当てはめてみると、問題文に「集積後から有効半減期よりも十分に長い時間にわたる総壊変数」とあるので、①の式を用いて、初期放射能Aを100Bq、半減期Tは有効半減期のおよそ100日(これは物理的半減期30年と生物学的半減期100日から求める)として、半減期の単位は秒に変換して、
2018年度問23
211At(物理学的半減期7.2時間)を含む放射性薬剤を投与後、ある腫瘍(腫瘍細胞)に100Bqの集積が認められた。この腫瘍において、物理学的半減期よりも十分長い時間にわたる211Atの集積後からの総壊変数(累積放射能[kBq・s])に最も近い値は次のうちどれか。ただし、腫瘍の重量は1㎏とする。また、その間、腫瘍からの211Atの排出は起こらず、新たに集積はなく、腫瘍細胞は増殖もせず排除もされないと仮定する。
<解>
この問題も2019年度問17と同様にに、上の式を当てはめてみると、①の式を用いて、初期放射能Aを100Bq、半減期Tは物理的半減期7.2時間として、この半減期の単位も秒に変換して、
総壊変数(累積放射能)を求める問題では、
①最初(摂取直後、投与直後)から半減期よりも十分長い時間経過した区間
に関して出題されることが多いかと思いますので上述した2つの式を暗記しておくとよいでしょう。