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ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

先日の記事で、2019年度の第二種試験に出題された放射性核種を掲載しました。

その中で、

10B(安定同位体)ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)10B(n,α)7Li 

を紹介しましたが、これに関係する記事が少し前の新聞に掲載されていました。

科学の森:中性子線当て、がんだけ破壊 頭頸部治療、「純国産」技術で開始 - 毎日新聞

がんの患者に中性子線を照射して、がん細胞だけを選択的に破壊する「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」による頭頸部(とうけいぶ)がんの治療が6月、世界に先駆けて国内で始まった。開発に約半世紀をかけた「純国産」技術で、既存の方法に続く治療法として期待される。

 デジタル記事は有料となりますが、6月18日の紙面上にも掲載されています。

 

ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に関する問題は第一種試験では時々出題されていますので、10B(n,α)7Liの核反応式及び簡単な原理は覚えておきましょう。

ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)10B(n,α)7Li

がん細胞にホウ素薬剤を投与して熱中性子をがん細胞を含む範囲に照射して粒子線(α線とLi粒子)を生成してがん細胞を死滅させる。細胞内でのα線の飛程は数µmで、がん細胞一個の直径にほぼ相当することから、がん細胞に特異的に集積するホウ素化合物を用い、同部位に原子炉から取り出した熱中性子線を照射すれば、がん細胞のみにエネルギーを集中して殺傷するがん細胞選択的治療が可能となる。

 

ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に関する過去問題

2018年度化学問13

安定同位体の利用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 7Liは、トリチウム製造の原料に使われる。
B 11Bは、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に利用される。
C 151Euは、アクチバブルトレーサーとして利用される。
D 206Pbは、ウラン-鉛年代測定法に利用される。

2017年度化学問27

ホットアトム等の関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 3Heの中性子照射で生成するトリチウム原子の運動エネルギーは1keV弱

   である。
2 ホウ素化合物をがん組織に取り込ませた後、熱中性子照射で腫瘍を治

   療する。
3 3HBrの紫外線照射で生成するトリチウム原子は有機化合物と反応しな

  い。
4 ヨウ化エチルの中性子照射で生成した放射性ヨウ素は水に不溶であ

  る。
5 核異性体転移で生成するホットアトムの電子配置は、元のままであ

  る。

2012年度化学問27

次の記述のうち、ホットアトムの生成と関係がないものはどれか。
1 中性子照射した臭素酸カリウムを水に溶かすと放射性のBr-イオンも

   得られる。
2 中性子照射したヨウ化エチルに水を加えて振り混ぜると水中に

   高比放射能128Iが得られる。
3 地下水中の234U/238U(放射能比)が1より大きくなることがある。
4 トリチウムを含む水を電気分解すると水中のトリチウム濃度は高く

   なる。
5 ホウ素化合物をがん組織に濃縮させた後、熱中性子照射で腫瘍を治療

   する。