ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
2019年度第一種試験の化学の問題を見てみると、30の問題の中には非常に多くの放射性核種が登場してきます。
例えば、
問1: 60Co, 57Co
問2: 211At
問3: 40K
問5: 14C
・・・・・
問26: 60Co, 59Fe, 55Fe, 51Cr
問30: 51Cr
5~7年間分の過去問題を見てみると、ほぼ出題される放射性核種が分かってきますので、それらについては過去問題を解く中で暗記していくことが大切です。
2019年度第一種試験化学問19は放射性ストロンチウムの分析に関する問題で難しい問題だったかと思いますが、この問題の中に出てきた2つの放射性核種90Srと90Yは放射線取扱主任者試験でも非常に出題頻度が高い重要核種です。
今日はこの2つの放射性核種の重要事項について是非覚えて下さい。
90Sr
・半減期28.8年
・β-壊変(β-線エネルギー546keV)
90Y
・半減期64時間
・β-壊変(β-線エネルギー2.28MeV)
90Srはβ-壊変して90Yになります。親核種である90Srの半減期28.8年は娘核種である90Yの半減期64時間に比べて非常に長いため、両者の間には永続平衡が成立します。
90Sr-90Yの永続平衡は非常に重要ですので必ず暗記しておきましょう。
放射平衡に関する問題は毎年必ず化学の試験で出題されています。
必ず自分で解けるようにしておいて下さい。
ひとつ演習問題を一緒に解いてみましょう。
問
90Srは(A)により原子番号39の90Yになる。90Yも放射性でβ-壊変により原子番号(B)、質量数(C)のジルコニウムの安定同位体になる。90Srの半減期(28.8年)は90Yの半減期(64.1時間)に比べてはるかに長いので、十分長時間の後には、両核種の間に(D)が成立する。この状態においては、105Bqの90Srと共存する90Yは(E)Bqである。
90Srは(A)β-壊変により90Yになります。そして、90Yも放射性でさらにβ-壊変により原子番号(B)40、質量数(C)90のジルコニウムの安定同位体になります。
壊変式は以下のとおりで必ず暗記しておかなくてはならない壊変式です。
90Srの半減期(28.8年)は90Yの半減期(64.1時間)に比べてはるかに長いので、十分長時間の後には、両核種の間に(D)永続平衡が成立します。
永続平衡では親核種と娘核種の放射能は等しくなるので、105Bqの90Srと共存する90Yの放射能も(E)105Bqとなります。
重要な放射性核種に関しては、壊変、半減期、エネルギーを確実に覚えておくことが大切です。実際の試験問題で放射性核種がどのように出題されているか過去問題をしっかりと解いておきましょう。