ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
先日、壊変定数についての記事おいて、
「壊変定数は放射平衡の問題でも非常によく出題される分野ですのでしっかりと勉強しておきましょう」
と記述しましたので、今日は放射平衡に関する問題を一緒に解いてみましょう。
問
親核種の半減期をT1、その娘核種の半減期をT2とする。また、T1がT2に比べて十分に長く、娘核種は最初存在しなかったものとする。T2より十分に長い時間が経った時の親核種及び娘核種の放射能をA1、A2とすると、永続平衡において近似的に成り立つ式として正しいものは次のうちどれか。
A A1/A2=1 B A1/A2=T1/T2 C A1/A2=T2/T1
D A1/A2=T2/(T2+T1) E A1/A2=T2/(T2-T1)
放射線取扱主任者試験において、放射平衡は第一種試験、第二種試験ともに必ず毎年出題されている超重要分野です。
①永続平衡、②過渡平衡、③放射平衡が成立しない場合の3パターンがあり、これらのパターンには重要な公式及び図があります。これらの公式や図を覚えておけば必ず得点できますので放射線概論と過去問題をしっかりと勉強しておくことが大切です。
3つのパターンについておさらいです。
親核種1が娘核種2に壊変し、さらにその娘核種2が娘核種3に壊変する場合を考えます。
(A : 親核種1 B : 娘核種2 C : 娘核種3)
(λ1 : 親核種1の壊変定数、λ2 : 娘核種2の壊変定数)
親核種1の原子数は以下の式で表されます。
(N01 : 親核種1の最初の原子数) (この式は暗記しましょう)
この式は先日の壊変定数の記事でも書きました。以下の微分方程式を解くと求めることができます。(N0は最初の原子数)
娘核種2の原子数
(N02 : 娘核種2の最初の原子数) (この式は暗記しましょう)
(この式は暗記しましょう)
②過渡平衡
・親核種1の半減期が娘核種2の半減期に比べて長いときに成立(T1>T2)
・娘核種2の放射能は親核種1の半減期に従って減少していく
・娘核種2の放射能が親核種1の放射能よりも大きくなる
・娘核種2の放射能が最大となる時間では娘核種2と親核種1の放射能とが等しくなる
(この式は暗記しましょう)
③放射平衡が成立しない
・親核種1の半減期が娘核種2の半減期により短いとき(T1<T2)
・親核種1の放射能と娘核種2の放射能の和である全放射能が時間とともに初めから
減少していく
・親核種1の半減期が娘核種2の半減期により短いとき(T1<T2)
・親核種1の放射能と娘核種2の放射能の和である全放射能が時間とともに初めから
減少していく
放射平衡が成立するしないに関係なく娘核種2の原子数が最大になる時間は、
(この式は暗記しましょう)
放射平衡に関しては、①永続平衡、②過渡平衡、③放射平衡が成立しない場合の3パターンについて時間と放射能の関係を表す図もしっかりと頭に入れておくことが大切です。
さて、今日の問題は永続平衡において娘核種2の半減期T2より十分に長い時間が経った時の親核種及び娘核種の放射能の関係を表す式が問われていますので、①永続平衡に既述したように、両社の放射能の間にはA1/A2=1の式が近似的に成り立ちます。
よって、正答は選択肢Aになります。
放射平衡に関連してはミルキングに関する問題もよく出題されます。
ミルキングの意味、ミルキングに用いられる親核種、ジェネレータなどについても勉強しておいて下さい。