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体内の40Kが人体に与えるエネルギー

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

先日から40Kに関しての記事を掲載しています。

今日もその続きの計算問題を一緒に考えましょう。

先日の記事で体内に存在するカリウムからの放射能を計算し、人体に140gのカリウムが含まれる(体重70kgを想定)ときの体内の40Kからの放射能はおよそ4.3×103Bqであることが分かりました。

また、体内に存在する40Kを点線源とみなした場合、この点線源から25cmの距離のγ線による年間被ばく線量を計算したところ、およそ12.7[μSv]であることが分かりました。

 

今日は、体重を70㎏の人の体内に存在する40Kが1年間に人体に与えるエネルギー[Gy]を計算してみましょう。体内の40Kは140gに維持され、40K 1壊変当たり人体に与えるエネルギーを平均0.58MeVとして計算してみましょう。

 

人体に140gのカリウムが含まれるとき、その40Kからの放射能はおよそ4.3×103Bqです。復習になりますが、もう一度計算してみましょう。

カリウム140gの中の40Kの重量は40Kの同位体存在比が0.0118%であることから、

 

  f:id:radioisotope_f:20200226102134g:plain

 

体内の40Kの放射能は、40Kの半減期を12.8億年(4.0×1016秒)として、放射能の公式に代入して、

 

 f:id:radioisotope_f:20200226102908g:plain

 

放射能が4.3×103Bqということは、40Kが1秒間に4.3×103壊変することを意味していますので、1年間での壊変数を計算してみると、

 

 f:id:radioisotope_f:20200227102251g:plain

 

となります。ここでも1年を秒に換算した値(3.15×107秒)が出てきましたね。

40Kの場合は半減期が12.8億年と非常に長いことから減衰は無視しています。

 

40K 1壊変当たり人体に与えるエネルギーを平均0.58MeVとすると、1年間に40Kから放出される総エネルギーは、

 

 f:id:radioisotope_f:20200227102510g:plain

 

これを[J](ジュール)単位に変換すると、1[eV]=1.6×10-19[J]であるので、

 

 f:id:radioisotope_f:20200227102817g:plain

 

上式で106を乗じているのは[MeV]単位を[eV]単位に変換しているためです。

 

[J]単位を[Gy]単位に変換するためには[Gy]=[J・kg-1]ですので、上式で求めた1.26×10-2

[J]を人の体重70kgで除せばよいことが分かります。

 

 f:id:radioisotope_f:20200227103159g:plain

 

これが体重70㎏の人の体内に存在する40Kが1年間に人体に与えるエネルギーになります。

 

体内の吸収線量を1.8×10-4[Gy]とすると、40Kが放出するβ-線、γ線放射線加重係数はいずれも1ですので等価線量も1.8×10-4[Sv]になります。体内すべての組織の組織加重係数の和は1ですので、体内の内部被ばく線量も1.8×10-4[Sv]と考えることができます。