ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日は先日の壊変に関する基本問題の記事において最後に少し触れた自発核分裂に関する過去問題を紹介したいと思います。
自発核分裂の部分半減期を求める問題と自発核分裂により放出される中性子の個数を求める問題です。
2005年第一種試験化学問8
252Cf 1mgから1秒間に発生する中性子の数に最も近い値は次のうちどれか。なお、半減期は2.6年、自発核分裂する割合は3.1%、核分裂当たりに発生する中性子数は3.8個である。アボガドロ定数は6.0×1023mol-1とする。
2015年第一種試験化学問12
252Cfはα壊変と自発核分裂する。自発核分裂の部分半減期は86年(2.7×109秒)であり、1核分裂当たり平均3.8個の中性子が放出される。1.0gの252Cfから毎秒放出される中性子数として、最も近い値はどれか。
2009年第一種試験物化生問4Ⅲ
252Cfは主にα壊変するが、分岐比3.1%で自発核分裂し、それに伴って中性子を放出する。自発核分裂の部分半減期は(I)年となる。1.0グラムの252Cfの原子数は(J)個、その核分裂速度は6.3×1011s-1である。1回の自発核分裂で放出する中性子数は平均3.8個であるので、1.0グラムの252Cfが放出する中性子数は毎秒(K)個となる。252Cf中性子源は即発γ線分析、中性子ラジオグラフィ、(L)等に用いられている。
2017年第一種試験物化生問1Ⅱ
原子番号が(J)以上の原子核では、外からの刺激なしに核分裂が起こることがあり、これを自発核分裂という。この過程はα壊変と競合して起こり、一般にα壊変の確率のほうが高い。自発核分裂の部分半減期は(K)が増すとともに急激に減少する。中性子線源として利用される252Cfは、半減期が2.65年であり、自発核分裂の割合が3.1%で核分裂に伴い高速中性子を放出する。核分裂当たりの中性子放出数は平均で3.76個である。従って、1gの252Cfから毎秒放出される中性子数は(カ)×1012s-1となる。ただし、1年=3.16×107sとする。
部分半減期に関しては252Cf以外の核種についても出題されていますので、いくつか掲載します。
2019年度第一種試験化学問2
211Atは半減期7.2時間で、42%はα壊変し、58%はEC壊変する。α壊変の部分半減期(時間)として、最も近い値は次のうちどれか。
2016年度第一種試験化学問17
ある放射性核種Xは2種類の壊変形式(β-壊変とβ+壊変)をもつ。β-壊変とβ+壊変の部分半減期がそれぞれ10分と40分のとき、全半減期(分)として正しい値は次のうちどれか。
2014年度第一種試験化学問8
ある放射性核種Aの半減期は60分で、36%はα壊変して核種Bになり、64%はβ-壊変して核種Cになる。α壊変の部分半減期Tα[分]、β-壊変の部分半減期Tβ-[分]の正しい組合せはどれか。
2017年度第一種試験物化生3Ⅱ
40Kは、89.1%の分岐比で(F)して安定同位体40Caになり、この部分半減期は、(イ)年である。一方、10.8%の分岐比で(G)し、安定同位体40Arになる。この部分半減期は1.2×1010年である。この際、(H)MeVのγ線を放出する。
2018年度第一種試験物化生4Ⅱ
下図は、Aが4nの系列の一部である。212Biは、64%が212Poへ、36%が208Tlに分岐壊変する。208Tlへの壊変の部分半減期は(ア)分である。下図の核種が放射平衡になっているとき、単位時間内に212Biと212Poが放出するα線の数の比(212Bi/212Po)は、(イ)である。
2010年度第一種試験物化生3Ⅱ
地殻中のカリウムの中には同位体存在度0.0117%で放射性核種40Kが存在する。40Kは分岐壊変し、部分半減期 年で(E)壊変して(ウ)になり、あるいは部分半減期1.22×1010年で(F)壊変して40Arになる。したがって、これらを合わせて40Kの半減期は(エ)年となり、また(E)壊変と(F)壊変の分岐比はおよそ(オ)となる。
部分半減期を求める問題としては40Kもよく出題されています。
40Kは89%がβ-壊変で40Caに、11%がEC壊変で40Arに壊変します。
下図は2006年度物化生問4Ⅰに出題された図です。
半減期Tの核種がその分岐壊変する割合をX%とすると、その部分半減期Txは、
で表すことができます。
これは公式として暗記しておくと良いでしょう。
252Cfの自発核分裂や40Kの分岐壊変、部分半減期に関する問題は非常に出題頻度が高い分野です。過去問題を解いておけば必ず得点できますので、過去問題をしっかり勉強して下さい。