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α線について

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

先日放射線の種類について触れましたので、今日はその中からα線に関して簡単に記述したいと思います。

 

α線

 原子核がα壊変するときに放出される。α線はヘリウム4Heの原子核であるため、壊変後の原子核(娘核種)は元の原子核(親核種)よりも原子番号が2、質量数が4減少する。

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例えば、原子番号88のラジウム226Raはα壊変して原子番号86のラドン222Rnになり、α線を放出します。

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 質量数の大きな核種のいくつかはα線を放出することにより、エネルギー的に安定な状態に転移します。α線原子核から放出されるためにはクーロンエネルギー障壁を超える必要がありますが、α壊変で放出されるα線のエネルギーはこれよりも小さく古典物理学ではエネルギー保存則を破ることになりα線が放出されることはありません。α線量子力学のトンネル効果によりクーロン障壁を通り抜けて放出されると考えられています。

 

放射線取扱主任者試験ではα線の飛程に関する問題がよく出題されています。

α線の飛程を表す公式は必ず暗記しておきましょう。

 

α線の空気中での飛程[cm]

 
α線のエネルギーはおおよそ4~8MeV程度ですので、この公式から空気中でのα線の飛程は数cmとなります。
 例えば、α線のエネルギーが5Mevのとき、飛程は3.6cm
     α線のエネルギーが6.3Mevのとき、飛程は5cm
 
飛程以外でもα線に関する問題は試験において非常によく出題されます。
まずは放射線概論などの参考書で基本的な内容を勉強した後、過去問題を解いて実際の問題ではどのようなかたちで出題されるのかを見て下さい。5年間から7年間分の過去問題を解けばよく出題される基本的な問題、重要な問題はたいてい出題されています。
 
2019年度の試験問題ではα線に関して以下のような問題が出題されています。
第一種試験
物理
 問6 ラジウム226Raからラドン222Rnへの壊変
 問10 核反応
 問11 カリフォルニウム252Cfの壊変
 問13 α線の飛程
2019年度物理問13
同じ速度の陽子、重陽子及びα粒子の物質中での飛程をそれぞれRp、Rd、Rαとするとき、飛程の大小関係として正しいものは次のうちどれか。
 1 Rd>Rp≒Rα 
 2 Rp>Rd≒Rα 
 3 Rα>Rp>Rd 
 4 Rp>Rd>Rα 
 5 Rp≒Rd>Rα
 問32 α粒子の軌道や壊変エネルギー
化学
 問2 211Atのα壊変の部分半減期
 問8 211Atと210Poの放出するα線の数
 問27 α線源を利用する機器
実務
 問2 α線源による汚染の測定
 
第二種試験
化学
 問11 壊変系列におけるα壊変の回数
実務
 問3 α線の遮蔽
 問10 α線放出核種の検出
 問12Ⅲ α線源による汚染の測定