放射線取扱主任者試験に合格しよう!

資格取得を目指す皆さんを応援します

2019年度第二種試験問題総評 実務編

2019年度第二種試験問題総評 

【実務】

今年から管理技術Ⅰの課目がなくなり、新しく実務の課目に変更されました。実務の課目は昨年度まで管理技術Ⅱの中で出題されていた測定分野・管理分野の五者択一式の問題10問に昨年度まで管理技術Ⅰで出題されていた測定分野・管理分野の文章問題が2問加わり、五者択一式問題が10問、文章問題が2問の構成となりました。

文章問題1問は毎年第二種試験で出題されている法令と絡めて実効線量率を求める計算問題です。今年度の問題は昨年よりも計算量も少なく解きやすい問題であったかと思います。

 

問1は放射線加重係数に関する問題です。放射線加重係数は放射線の種類とエネルギーによってのみ決まる値です。放射線の種類ごとの値は確実に暗記しておきましょう。

問2は預託実効線量、預託等価線量に関して問われています。基本問題です。成人50年、幼児70年という期間はしっかりと暗記しておきましょう。

問3は放射線の遮蔽に関する問題です。過去の管理技術Ⅱでほとんど同じ問題が幾度か出題されています。過去問題を解いていれば得点できます。

問4は実効線量率を求める計算問題です。A地点、B地点の実効線量率は公式を使用して難なく求められると思いますが、C地点は10cm鉛の遮蔽材の透過率が明記されていないため戸惑ったかもしれません。問12に137Csの鉛10cmの透過率が明記されていますのでその値から60Coのおおよその透過率を推測して計算できます。

問5は密封線源の取扱いに関する問題です。この問題は過去あまり出題されたことがなかったので戸惑ったかもしれませんが、β線を放出する核種かγ線を放出する核種かが分かればその線源の構造や強度が推測できますので正答にたどりつけます。

問6はβ線の検出器に関する問題です。検出器に関しては検出できる放射線の種類は知っておく必要があります。BのZnS(Ag)シンチレーション検出器がα線、Dの3He比例計数管が熱中性子の検出器であることが分かれば消去法でも正答が分かります。

問7も検出器に関する問題です。熱中性子、速中性子の検出器は覚えておきましょう。

問8は個人線量計に関する問題です。第二種試験では個人線量計に関する問題がよく出題されています。過去の管理技術Ⅰ、管理技術Ⅱの過去問題に幾度と出題されてされていますので過去問題をしっかり解いておくことが大切です。

問9は事故時の措置に関する問題です。選択肢AからD全てが正しいことは明らかです。

問10は汚染時の対処方法に関する問題です。外部被ばくの除染には水などの温和なものから用いることや検出時には内部被ばくによる体内からの放射線の検出に注意しなくてはならないことは知識として知っておく必要があります。

問11 ⅠはGM計数管の原理に関する問題です。気体検出器の問題は過去問題でも出題されています。今年度2019年度の第一種試験の実務問1でも気体検出器である比例計数管についての問題が出題されています。GM計数管は放射線取扱主任者試験でも第一種、第二種問わず一番出題される検出器でもあります。電子なだれや窒息現象、クエンチングガス、分解時間などの用語や、正味の計数率などの計算問題も重要です。過去問題をしっかりと勉強して下さい。

ⅡもGM計数管に関する問題です。(N)では分解時間からGM計数時間が有感であった時間を求める計算問題が出題されています。2016年度の第二種試験の管理技術Ⅰでも同様の問題が出題されています。また(O)ではサーベイメータの補正後の線量率を求める計算問題が出題されていますが、これも昨年度2018年度の第二種試験の管理技術Ⅰに同様の問題が出題されています。(R)や(T)などはGM計数管の特徴を知っておく必要があります。GM計数管はエネルギー特性があまり良くないこと、入射方向で感度が異なることは勉強しておきましょう。

問12 Ⅰは昨年度までの第二種試験でも毎年必ず出題されていた計算問題です。今年度の問題は昨年度の問題に比べて計算量も少なく解きやすい問題だったかと思います。実効線量率を求める公式をしっかり暗記して計算間違いをしないように落ち着いて計算すれば正答できる問題です。毎年、法令に絡めて人が常時立ち入る場所、管理区域境界、事業所の境界の線量限度も出題されていますので確実に暗記しておきましょう。

Ⅱはγ線を検出するサーベーメータに関する問題です。γ線サーベイメータとしては電離箱やNaI(Tl)シンチレーション検出器については特徴を知っておく必要があります。137Cs、241Amのγ線エネルギーは確実に覚えておきましょう。(キ)のNaI(Tl)シンチレーション検出器のエネルギー特性は少し難しかったかもしれません。

Ⅲは汚染検査の方法として直接測定法や間接測定法(スミア法)、表面汚染密度の計算問題に関する問題です。直接法や間接法の問題は汚染検査の方法として非常に重要で過去問題でも幾度も出題されています。今年度2019年度の第一種試験の実務の問題でも出題されています。表面汚染密度を計算する公式は直接法、間接法ともに重要公式です。必ず両者ともに暗記しておきまそう。本問題では間接法の公式を用いる問題となっていますが、今年度2019年度の第一種試験の実務では直接法により表面汚染密度を計算する問題が出題されています。線源効率の値やふき取り効率の値は暗記しておきたい数値です。