放射線取扱主任者試験に合格しよう!

資格取得を目指す皆さんを応援します

来年度の合格へ向けて

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日から11月に入りました。
10月28日に令和元年度の放射線取扱主任者試験の結果発表があり、今年度の全ての日程が終了しました。
 
令和元年度の放射線取扱主任者試験の問題に関して全てを解き終えましたので、本ブログに第一種試験、第二種試験の全課目について個人的な総評を掲載いたしました。来年度以降受験される人の参考になればと思います。
 
今年度の試験に合格された人は、今後資格取得の講習会を受講することで放射線取扱主任者となることができます。受講費用は決して安くはありませんが、非常に中身の濃い充実した講習会になっていますので、是非受講して正式に放射線取扱主任者となりこれから活躍して欲しく思います。
 
残念ながら今年度の試験に不合格であった人は、今は悔しい気持ちでいっぱいだと思います。その悔しい気持ちを決して忘れずにこれからの一年間を過ごして下さい。そうすれば来年度の試験には必ず合格できます。
そのためには今年度の失敗から学ばなくてはなりません。自分が不合格であった要因を分析し、それを克服していくことからが始まりです。

何事も成功は多くの失敗から成り立っています。

失敗から学ばなくてはなりません。その努力を怠ってはなりません。

今年年の試験に合格できなかった人は必す今年度の結果から学んで下さい。
今年度合格された人も過去の試験に不合格でその悔しい思いをバネに頑張り合格を勝ち取った人もたくさんいます。

一年後にはあなた自身がその不合格を乗り越えて合格したひとりになって下さい。

 

努力なくして成功はありません。

諦めたらその先に続く道はありません。

 

今日からがスタートです。

来年度の合格を目指して一緒にがんばりましょう!

 

2019年度第二種試験問題総評 実務編

2019年度第二種試験問題総評 

【実務】

今年から管理技術Ⅰの課目がなくなり、新しく実務の課目に変更されました。実務の課目は昨年度まで管理技術Ⅱの中で出題されていた測定分野・管理分野の五者択一式の問題10問に昨年度まで管理技術Ⅰで出題されていた測定分野・管理分野の文章問題が2問加わり、五者択一式問題が10問、文章問題が2問の構成となりました。

文章問題1問は毎年第二種試験で出題されている法令と絡めて実効線量率を求める計算問題です。今年度の問題は昨年よりも計算量も少なく解きやすい問題であったかと思います。

 

問1は放射線加重係数に関する問題です。放射線加重係数は放射線の種類とエネルギーによってのみ決まる値です。放射線の種類ごとの値は確実に暗記しておきましょう。

問2は預託実効線量、預託等価線量に関して問われています。基本問題です。成人50年、幼児70年という期間はしっかりと暗記しておきましょう。

問3は放射線の遮蔽に関する問題です。過去の管理技術Ⅱでほとんど同じ問題が幾度か出題されています。過去問題を解いていれば得点できます。

問4は実効線量率を求める計算問題です。A地点、B地点の実効線量率は公式を使用して難なく求められると思いますが、C地点は10cm鉛の遮蔽材の透過率が明記されていないため戸惑ったかもしれません。問12に137Csの鉛10cmの透過率が明記されていますのでその値から60Coのおおよその透過率を推測して計算できます。

問5は密封線源の取扱いに関する問題です。この問題は過去あまり出題されたことがなかったので戸惑ったかもしれませんが、β線を放出する核種かγ線を放出する核種かが分かればその線源の構造や強度が推測できますので正答にたどりつけます。

問6はβ線の検出器に関する問題です。検出器に関しては検出できる放射線の種類は知っておく必要があります。BのZnS(Ag)シンチレーション検出器がα線、Dの3He比例計数管が熱中性子の検出器であることが分かれば消去法でも正答が分かります。

問7も検出器に関する問題です。熱中性子、速中性子の検出器は覚えておきましょう。

問8は個人線量計に関する問題です。第二種試験では個人線量計に関する問題がよく出題されています。過去の管理技術Ⅰ、管理技術Ⅱの過去問題に幾度と出題されてされていますので過去問題をしっかり解いておくことが大切です。

問9は事故時の措置に関する問題です。選択肢AからD全てが正しいことは明らかです。

問10は汚染時の対処方法に関する問題です。外部被ばくの除染には水などの温和なものから用いることや検出時には内部被ばくによる体内からの放射線の検出に注意しなくてはならないことは知識として知っておく必要があります。

問11 ⅠはGM計数管の原理に関する問題です。気体検出器の問題は過去問題でも出題されています。今年度2019年度の第一種試験の実務問1でも気体検出器である比例計数管についての問題が出題されています。GM計数管は放射線取扱主任者試験でも第一種、第二種問わず一番出題される検出器でもあります。電子なだれや窒息現象、クエンチングガス、分解時間などの用語や、正味の計数率などの計算問題も重要です。過去問題をしっかりと勉強して下さい。

ⅡもGM計数管に関する問題です。(N)では分解時間からGM計数時間が有感であった時間を求める計算問題が出題されています。2016年度の第二種試験の管理技術Ⅰでも同様の問題が出題されています。また(O)ではサーベイメータの補正後の線量率を求める計算問題が出題されていますが、これも昨年度2018年度の第二種試験の管理技術Ⅰに同様の問題が出題されています。(R)や(T)などはGM計数管の特徴を知っておく必要があります。GM計数管はエネルギー特性があまり良くないこと、入射方向で感度が異なることは勉強しておきましょう。

問12 Ⅰは昨年度までの第二種試験でも毎年必ず出題されていた計算問題です。今年度の問題は昨年度の問題に比べて計算量も少なく解きやすい問題だったかと思います。実効線量率を求める公式をしっかり暗記して計算間違いをしないように落ち着いて計算すれば正答できる問題です。毎年、法令に絡めて人が常時立ち入る場所、管理区域境界、事業所の境界の線量限度も出題されていますので確実に暗記しておきましょう。

Ⅱはγ線を検出するサーベーメータに関する問題です。γ線サーベイメータとしては電離箱やNaI(Tl)シンチレーション検出器については特徴を知っておく必要があります。137Cs、241Amのγ線エネルギーは確実に覚えておきましょう。(キ)のNaI(Tl)シンチレーション検出器のエネルギー特性は少し難しかったかもしれません。

Ⅲは汚染検査の方法として直接測定法や間接測定法(スミア法)、表面汚染密度の計算問題に関する問題です。直接法や間接法の問題は汚染検査の方法として非常に重要で過去問題でも幾度も出題されています。今年度2019年度の第一種試験の実務の問題でも出題されています。表面汚染密度を計算する公式は直接法、間接法ともに重要公式です。必ず両者ともに暗記しておきまそう。本問題では間接法の公式を用いる問題となっていますが、今年度2019年度の第一種試験の実務では直接法により表面汚染密度を計算する問題が出題されています。線源効率の値やふき取り効率の値は暗記しておきたい数値です。

 

2019年度第二種試験問題総評 物理・化学・生物編

2019年度第二種試験問題総評

昨年度までの管理技術Ⅱと難易度は例年並みかと思います。管理技術Ⅱの過去問題で出題された類似問題もあり、また暗記しておけば得点できる問題もあります。

【物理】

問1は壊変に関する問題です。α壊変、β-壊変、β+壊変、EC壊変に関しては壊変により原子番号、質量数の変化はしっかりと覚えておきましょう。また、どの壊変がニュートリノ、反ニュートリノを放出するかも暗記しなくてはなりません。252Cfが自発核分裂により中性子を放出することは試験でも非常によく出題されています。合わせて覚えておきましょう。

問2は連続スペクトルに関する問題です。連続スペクトル、線スペクトルを示すものは確実に暗記しておきましょう。暗記するだけで得点に繋がります。

問3は難しかったかもしれません。KX線はK殻の電子が放出されたときに出る特性X線を表しています。特性X線、オージェ電子は非常に出題頻度の高い分野ですのでしっかり勉強しておくことが重要です。

問4はW値に関する問題です。W値、ε値は定義をしっかりと覚えておきましょう。W値は荷電粒子にのみ用いられる用語です。W値を使用する計算問題も時々出題されます。

問5は重荷電粒子の阻止能に関する問題です。2012年度の第二種試験の管理技術Ⅱでも同様の問題が出題されています。荷電粒子の阻止能に関する公式を覚えておくことが大切です。

問6はコンプトン散乱に関する問題です。137Csのコンプトン散乱に関して、選択肢BやDのような計算問題は第二種試験では過去幾度と出題されています。コンプトン散乱後の散乱光子のエネルギーを求める重要な公式は確実に覚えておきましょう。

問7の鉄の線減弱係数を求める問題は2010年度の第二種試験の管理技術Ⅱでも出題されています。線減弱係数と質量減弱係数の関係をしっかり理解しておきましょう。

問8は中性子と物質の相互作用における反跳エネルギーに関する問題です。出題頻度が高い分野で重要な公式がありますので、公式を暗記して自分で計算できるようにしておきましょう。

問9は用語に関する問題です。放射線を勉強する上で用語や定義、また単位は基本です。確実に覚えておかなくてはなりません。

問10は計数率の標準偏差に関する問題です。計数値や計数率、またそれらの標準偏差を求める公式がありますので確実に暗記しておけば正答できる問題です。

問11 Ⅰは原子核の構造に関する文章問題です。陽子、中性子、電子の質量は暗記しておくと必ず試験で役に立ちます。是非覚えておきましょう。結合エネルギーと質量数の関係を表す図がありますので大まかな図は頭に入れておきましょう。核子当たりの平均結合エネルギーが質量数が60付近(Fe)で最大になること、またHeでも極大値をもつことは覚えておきましょう。(E)の放出されるエネルギーを求める計算問題は少し難しかったかもしれません。2015年度の第一種試験で類似の問題が出題されています。

Ⅱは64Cuの分岐壊変に関する文章問題です。分岐壊変に関する問題は64Cu以外にも40K、252Cfなどが試験ではよく出題されます。64Ni、64Znを生成する部分半減期は自分で計算できるようにしましょう。また壊変図の読み方も理解しておくことが大切です。

 

【化学】

問1は半減期から放射能を求める問題です。放射能半減期の関係を表す公式に代入して解きます。指数の計算が少し必要になりますので簡単な指数計算はできるようにしておきましょう。

問2はγ線を放出する核種に関する問題です。重要な放射性核種については壊変、半減期、エネルギーはしっかりと覚えておきましょう。本問題の32P、60Co、131Iは非常に出題頻度の高い重要核種です。90Yは放射平衡でよく出題されます。192Irはβ線γ線も放出する核種です。

問3は放射能から質量を求める問題です。放射能を求める公式に代入して解きます。放射能を求める公式は基本公式ですので確実に覚えておきましょう。

問4は壊変系列の中でウラン系列に関する問題です。4つの壊変系列についてはしっかり暗記しておきましょう。

問5は放射平衡に関する問題です。選択肢AからCはいずれも試験によく出題される重要な壊変です。永続平衡、過渡平衡をしっかりと覚えておきましょう。

問6は陽電子放出核種に関する問題です。PET核種は必ず暗記しておきましょう。22Naもβ+壊変する核種として試験によく出題されています。覚えておきましょう。3Hや63Niは低エネルギーβ線放出核種として重要です。

問7は主要な核種の半減期についての問題です。60Co、137Cs、241Amは半減期だけでなくγ線エネルギーも重要です。85Krのβ線192Irのγ線も厚さ計や非破壊検査に使用されます。

問8は除染の方法に関する問題です。化学的知識が少し必要ですので難しかったかもしれません。キレート剤は時々出題されていますので勉強しておくとよいでしょう。

問9は放射線を利用した機器に関する問題です。厚さ計、密度計、水分計、硫黄計はいずれも管理技術Ⅱの過去問題でも幾度と出題されてきています。

問10は水の放射線分解に関する問題です。生物の課目でもよく出題される分野です。水和電子、ヒドロキシルラジカル、還元剤、酸化剤などについて勉強しておきましょう。

問11は天然放射性核種に関する文章問題です。壊変系列を作る天然放射性核種としてトリウム系列、ネプツニウム系列、ウラン系列、アクチニウム系列の4つがありますが、α壊変、β壊変の数や最終の安定同位体を暗記しておきましょう。後半は壊変系列をつくらない天然放射性核種として40Kについて問われています。40Kは試験でも非常に出題頻度の高い重要核種です。半減期やエネルギー以外にもβ-壊変とEC壊変の割合、壊変後の核種を覚えておきましょう。部分半減期を計算する問題も出題されることもあります。

 

【生物】

問1はDNAの構造に関する問題です。最近はDNAやタンパク質に関する問題がよく出題されるようになっていますので、生化学について基本事項は押さえておきましょう。

問2は急性被ばくのしきい線量に関する問題です。骨髄死、消化管死、中枢神経死のおおまかなしきい線量は暗記しておきましょう。ヒトやマウスの半致死線量も合わせて覚えておきましょう。

問3は組織加重係数に関する問題です。ICRP2007年勧告の組織加重係数、放射線加重係数は必ず暗記しておきましょう。覚えておけばそれだけで得点になります。

問4は確率的影響に関する問題です。染色体異常や突然変異はしきい線量がないため確率的影響に、細胞死などはしきい線量が存在するため確定的影響になります。

問5は自然放射線に関する問題です。自然放射線量は年々変化することもあるので、できるだけ最新の情報で数値は覚えておきましょう。古い過去問題と最近の過去問題とでは正答が異なる場合もあります。

問6は直接作用と間接作用に関する問題です。それぞれの特徴、また間接作用の修飾効果は必ず暗記しておきましょう。

問7はDNA損傷に関する問題です。DNA損傷に関しては1本鎖切断、2本鎖切断などの修復も重要です。細胞周期と修復の関係もしっかりと勉強しておきましょう。

問8は細胞死に関する問題です。今年度2019年度では第一種試験の生物の文章問題で細胞死に関する問題が出題されています。増殖死や間期死、アポトーシスネクローシスについてはしっかりと覚えておきましょう。

問9は染色体異常に関する問題です。安定型、不安定型異常の種類、また発がんに関わる染色体異常は覚えておきましょう。また安定型、不安定型異常がどのような外観になるかも図で覚えておくとよいでしょう。

問10は致死感受性に関する問題です。直接作用や間接作用と合わせて致死感受性は覚えておくとよいでしょう。また細胞周期における感受性の違いも勉強しておきましょう。

問11 Ⅰは骨髄に関する問題です。末梢血中の種類や特徴は覚えておかなくてはなりません。また、照射後の時間と血球数の変化を表す図は重要です。概略図は自分で描けるようにしておくと試験で必ず役に立ちます。

Ⅱも骨髄に関する問題です。ヒトの半致死線量や骨髄の組織加重係数が問われています。造血組織である骨髄に関する問題は過去の管理技術Ⅰでもよく出題されている重要分野です。急性放射線症や放射線宿酔などとも合わせてしっかり勉強しておくことが大切です。

 

2019年度第一種試験問題総評 実務編

2019年度第一種試験問題総評

【実務】

昨年度までの管理測定技術の課目がなくなり、今年度2019年度からは実務という試験課目に変更になりました。今年度は初めての「実務」課目の問題でしたが、昨年度までの管理測定技術の問題と大きな違いはなかったように思います。

2018年度までの管理測定技術の過去問題をしっかり解いて試験に臨めば十分6割は得点できる問題だったかと思います。問題数、計算量も少なめで全ての問題を解く時間も十分にあったかと思います。

 

問1は比例計数管に関する問題です。前半は気体検出器の原理について問われています。放射線概論にも掲載されていますし、管理測定技術の過去問題でも出題されていますので得点できる問題です。後半は3Heを計数ガスに使用した熱中性子を検出する比例計数管に関しての問題です。3He (n,p) 3Hの核反応も過去問題では幾度と出題されています。3Hの運動エネルギーのピーク値を求める問題に少し戸惑ったかもしれませんが、それ以外は得点できる問題です。

 

問2は非密封線源取扱い施設の放射線管理に関する問題です。直接測定法や間接測定法(スミア法)、表面汚染密度の計算問題が出題されています。直接法や間接法の問題では必ず固着性汚染、遊離性汚染は問われる内容ですので確実に得点出来るようにしましょう。また、表面汚染密度を計算する公式は直接法、間接法ともに重要公式で管理測定技術の過去問題でも幾度と出題されています。しっかり覚えて必ず自分で表面汚染密度を計算できるようにしましょう。本問題では直接法の公式を用いる問題となっていますが、今年度2019年度の第二種試験の実務では間接法により表面汚染密度を計算する問題が出題されています。(イ)の標準偏差を求める問題は少し戸惑ったかもしれませんが、第二種試験では過去に管理技術Ⅱの問題で同様の問題が出題されています。

 

問3 Ⅰは非密封放射性同位元素を使用する施設に関する問題です。放射性ヨウ素の捕集や粒子状放射性物質の捕集に関する問題は過去の管理測定技術の試験でも幾度と出題されています。HEPAフィルタや活性炭フィルタなどと合わせて必ず覚えておきましょう。また、放射性物質の捕集に関する問題では、本問題のような空気中のラドンの子孫核種のフィルタへの吸着も合わせて出題されることが多々あります。222Rn、220Rn、214Pb、212Pbなどに関しては半減期はしっかりと押さえておきましょう。

Ⅱは標識化合物の保管に関する問題です。これもよく出題される問題ですので、管理測定技術の過去問題をしっかりと解いておくことが大切です。遊離基捕捉剤や保管温度などがよく出題されています。

 

問4 Ⅰは放射性核種と検出器に関する問題です。3H、14C、32P、137Csはいずれも出題頻度の高い重要核種です。β線放出核種についてはアルミニウム中での飛程から核種を同定するフェザー法が出題されています。

Ⅱは凝集沈殿法やpHに関する計算問題が出題されています。化学に関する専門的な知識を必要とするので難しかったかもしれません。

Ⅲは貯留槽の中の放射性同位元素の排水に関する問題です。管理測定技術の過去問題でも非常によく出題されている問題です。少し計算量がありますが落ち着いて考えて解けば難しい問題ではありませんので得点できる問題です。

 

問5 Ⅰは放射線防護に関する問題です。防護量や実用量については管理測定技術の過去問題でも出題されていますし、放射線概論には掲載されています。しっかり勉強していれば得点できる問題です。

Ⅱも放射線防護に関する問題で、実効線量や等価線量を求める計算問題です。実効線量と等価線量を計算する公式を覚えておけば解ける問題です。

 

問6はヨウ素に関する問題です。ヨウ素は放射性核種の中でも最も試験で出題頻度の高い核種です。今年度2019年度の化学問32の文章問題でも出題されています。多くの同位体がありますが、安定同位体127I以外に123I、125I、128I、129I、131Iの放射性同位体に関しては特徴を必ず覚えておきましょう。(エ)の線量率を求める問題も非常によく出題されていますので公式を確実に暗記して自分で計算できるようにしましょう。

 

2019年度第一種試験問題総評 生物編

2019年度第一種試験問題総評

【生物】

いくつか難しい問題や選択肢の中で正誤の判断を迷うものもあります。消去法により正答にたどりつける問題もありますが難易度は例年より少し難しかったかもしれません。過去問題をしっかりと解いて臨み、6割は得点できるようにしたい問題です。

近年ではDNAやタンパク質など生化学の問題が出題される頻度も高くなっています。来年度以降の受験を考えている人は生化学に関して基礎的なことは勉強しておいた方がよいかと思います。

 

問1のPET核種を使用した標識化合物の問題は過去にも幾度と出題されています。

問2は放射線の産業利用に関する問題で農業分野での吸収線量についての問題です。放射線の産業利用に関する事例は主なものは覚えておきましょう。本問題では吸収線量まで問われているので難しい問題だったかと思います。この問題で吸収線量を覚えておくとよいでしょう。

問3、問8は放射性核種の臓器親和性に関する問題です。問3の骨に集積する核種は非常によく出題されています。放射性核種が集積する臓器は確実に覚えておきましょう。

問4は急性放射線障害に関する問題ですが、近年同様な問題が出題されています。詳細な症状、数値まで覚えておかなくてはいけないので難しい問題かと思います。同様の過去問題を解きながら暗記するのがよいでしょう。

問5の急性被ばくに関しては骨髄死、腸管死、中枢神経死の線量や生存期間、またヒトの半致死線量などを確実に覚えておきましょう。被ばく後の末梢血中の変化については毎年のように出題される分野です。各血球の変化を表す図をおおまかでも自分で描けるようにしておくとよいでしょう。

問6は唾液腺への被ばくに関する問題です。唾液腺に関しては2012年度の生物でも出題されていますが、この問題も難しい問題だったかと思います。

問7は相対リスクに関する問題です。相対リスクや絶対リスクに関する問題は出題頻度が高いので過去問題をしっかりと解いて考え方を理解しておきましょう。この問題もやや難です。

問9、問11は医療被ばくや自然放射線に関する問題です。医療被ばく線量や自然放射線量は変化するものなので、できるだけ最新の情報で数値は覚えておきましょう。古い過去問題と最近の過去問題とでは正答が異なる場合もありますので注意が必要です。

問12、問13の直接作用、間接作用は問題です。生物の問題では毎年のように出題されている分野です。間接作用の修飾効果も非常に出題頻度の高い分野ですので確実に覚えておきましょう。問16が修飾効果に関する問題です。

問14、問15はDNA損傷やその修復に関する問題です。DNA損傷やその修復に関する問題も毎年必ず出題されている分野です。細胞周期や周期毎の感受性などと合わせて覚えておくとよいでしょう。

問17は計算問題です。今年度2019年度の物理や昨年度2018年度の物理及び生物でも同じ考え方で解く問題が出題されています。近年はこのような計算問題がよく出題されています。難しい問題ですが過去問題をしっかり解いて解き方を理解して下さい。

問18のアポトーシスも頻出問題です。特徴を確実に覚えておきましょう。

問20はブラッグピークに関する問題です。がん治療と合わせて理解しておきましょう。

問22は眼の放射線影響における白内障や水晶体混濁に関する問題です。2012年度及び2016年度の第二種管理技術Ⅰの試験においてに類似の問題が出題されていますが、やや難しい問題だったかと思います。

問24は皮膚障害に関する問題です。皮膚に関しては被ばく線量と症状の関係が複雑ですので難しい問題だったかと思います。皮膚の主要な障害に関してはしきい線量を覚えておきましょう。

問26は名目リスク係数に関する問題です。近年では名目リスク係数に関する問題が非常によく出題されています。ICRP2007年勧告のがんの名目リスク係数の値(5.5%、4.1%)や遺伝性(的)影響の名目リスク係数の値(0.2%、0.1%)は暗記しておいた方がよいでしょう。

問29で出題されている99mTcのように核医学に利用される核種は201Tl、67Gaなどいくつかありますので確実に覚えておきましょう。

問30はホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に関する問題です。基本的な原理と10B(n,α)7Liの核反応は覚えておきましょう。

問31 Ⅰは細胞死や生存曲線に関する文章問題です。増殖死や間期死などの細胞死に関する文章問題は過去の物化生でも幾度か出題されています。コロニー形成に関しても過去に物化生で出題されていますが、コロニー形成率の計算問題は最近は出題されていなかったので戸惑ったかもしれません。後半はRBEやOER、また生存曲線のα/β比に関する問題です。これらも物化生の過去問題で出題されていますので過去問題をしっかり解いて臨めば得点できる問題です。

Ⅱの前半はベルゴニー・トリボンドーの法則に関する文章問題で基本問題です。後半は急性障害に関する問題です。皮膚や小腸などの幹細胞に関しては放射線概論にも記載されていますし、物化生の過去問題でも出題されています。

問32 Ⅰは毛細血管拡張性運動失調症に関する文章問題です。毛細血管拡張性運動失調症に関しては過去の物化生でも幾度と出題されていますが、本問題は専門的な内容が問われ難しい問題だったかと思います。この問題を通して毛細血管拡張性運動失調症に関して理解を深めて下さい。

Ⅱは昨年度2018年度の物化生で出題された問題の類題です。昨年度の過去問題をしっかり解いて試験に臨んだ人は得点できたかと思います。数年前から生物分野ではDNAの構造やタンパク質など生化学の問題が非常によく出題されるようになってきました。基本的な生化学に関する勉強を行うとともに、過去5年間分程度の物化生の過去問題は必ず解いて試験に臨むことが大切です。

 

2019年度第一種試験問題総評 化学編

2019年度第一種試験問題総評

【化学】

難易度は物理同様例年並みと思います。

五者択一式の問題も昨年度までの過去問題をしっかりと解いて臨めば6割は得点できる問題です。また、物化生に代わり新たに追加された文章問題問31、問32も過去の物化生に出題された問題と類似の問題も多く、過去問題をしっかり解いておけば6割、7割は十分得点できる問題です。

全ての教科に共通することですが、計算問題が苦手な人は暗記すべきことを確実に覚えて暗記問題で得点することを心がけましょう。

 

問1や問3のような原子数比や放射能を求める問題は過去問題でもよく出題されています。放射能を求める公式を覚え、過去問題をしっかりと解いておけば確実に得点できる問題です。

問2は部分半減期に関する問題です。化学や物化生の過去の問題で幾度と出題されています。部分半減期を求める問題では252Cfや40Kがよく出題されています。昨年度2018年度の物化生では212Biの部分半減期を求める問題が出題されました。今年度2019年度の物理では40Kについて部分壊変定数を求める問題が出題されています。

問5の比放射能を求める問題も非常によく出題される頻出問題です。過去問題に類似問題がありますのでしっかりと解いておけば得点できます。

問6、問7は放射平衡に関する問題です。放射平衡が成立する条件、そして過渡平衡、永続平衡の特徴は確実に覚えておきましょう。

問8は昨年度2018年度物化生の類似の問題です。昨年度出題されたばかりの問題ですので得点できる問題です。

問9、問10、問11は核反応に関する問題です。問9の励起関数の問題は過去にもあまり出題されていなかったかと思いますのでは難しかったかと思います。ただ、落ち着いて考えれば消去法で正答にはたどりつけるかと思います。本番の試験ではまずは飛ばして時間が余ったら考える程度でも良いかもしれません。

問12は天然放射性核種に関する問題です。過去問題でも非常によく出題されていますのでしっかり覚えておきたい分野です。問16、問17も天然放射性核種に関する問題です。

問13のリン、問14のPET核種は重要核種です。過去にも幾度と出題されていますので確実に暗記しておきましょう。リンはヨウ素と並び出題頻度が非常に高い核種です。PET核種は生物の試験で非常に出題頻度が高い核種です。

問15は低エネルギーβ線放出核種の半減期に関する問題です。代表的なβ線放出核種、γ線放出核種に関しては半減期、エネルギーなどを確実に暗記しておきましょう。

問18は放射性物質の除去方法として沈殿や溶解に関しての問題です。2005年度の化学で類題が出題されています。

問19はSrの分析法に関する問題です、この問題は過去にもあまり出題されたことがない問題ですので難しかったかと思います。

問20は放射性気体の発生に関する問題です。試験に出題される放射性気体やその化学反応式はある程度決まっていますので過去問題を通して暗記しておきましょう。

問21はクロム酸カリウムの沈殿に関する問題ですが、問題文が長くじっくり読まないと間違えそうな問題です。この問題も本番の試験ではまずは飛ばして時間が余ったら考える程度でも良いかもしれません。

問22はイオン交換樹脂に関する問題です。ここ数年、陽イオン交換樹脂や陰イオン交換樹脂に関する問題がよく出題されています。過去問題をしっかりと解いておきましょう。

問23は沈殿や分離に関する問題です。主な沈殿やイオン交換樹脂による分離方法、またキレート化合物については化学の試験でよく出題されていますのでしっかりと勉強しておきましょう。

問24は標識化合物の合成方法に関する問題です。標識化合物に関しては命名法や合成法についてしっかりと覚えておきましょう。合成方法に関しては反跳合成法やウイルツバッハ法などの特徴も暗記しましょう。

問25の同位体希釈法、問26のホトアトムに関する問題は毎年のように出題されています。過去問題をしっかりと解いておけば得点できます。

問28、問29は放射線が物質に及ぼす効果に関する問題です。ラジカルやスプール、また水との相互作用で生成する活性種などをしっかりと勉強しておきましょう。放射線が物質に及ぼす効果に関する問題は物理や生物の試験でも出題されます。

問30は遮蔽や半価層、制動放射など物理の試験で出題される内容の問題です。半価層の計算がしっかりできること、制動放射線を理解しておくことが大切です。

問31は放射化分析に関する文章問題です。放射化分析に関しては重要な公式がありますので確実に暗記しておきましょう。2008年度、2016年度の物化生の過去問題でも同様の問題が出題されています。溶解度積から沈殿に含まれる放射能を求める(ウ)の問題が少し難しかったかもしれませんが、溶解度積に関する問題も過去の物化生でも幾度か出題されています。考え方を理解しておきましょう。

問32 Ⅰはヨウ素に関する文章問題です。ヨウ素は非常に出題頻度が高い重要核種で、過去の試験では化学、物化生、管理測定技術で非常に多く出題されています。安定同位体127I以外に123I,125I,128I,129I,131Iの放射性同位体に関して特徴を覚えておきましょう。

Ⅱはホットアトムに関する文章問題です。ホットアトムに関する問題の中でもヨウ化エチルの反跳エネルギーに関する問題は文章問題として過去には幾度と出題されています。γ線の反跳エネルギーや生成核種の放射能を自分で計算できるようにしましょう。

 

令和元年度放射線取扱主任者試験合格者発表

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

本日、令和元年度の放射線取扱主任者試験の合格者の発表がありました。

原子力安全技術センターのHPにアナウンスされています。

 原子力安全技術センター


令和初年度の放射線取扱主任者試験に合格された皆さん、本当におめでとうございます!
放射線取扱主任者試験の合格を目指して頑張っている皆さんを応援する本ブログの管理人としましても本当に嬉しく思います。

心からお喜び申し上げます。
この資格試験のために皆さんが本当に頑張り、その努力が実った日でもありますので、大いにその喜びに浸って下さい。

官報には受験地、受験番号、氏名が掲載されています。
ダウンロードして保存しておくこともできますので、是非記念に保存しておくと良いかと思います。

 官報

 合格者名